海岸に近い平地はガジュマルやアコウなども見られる亜熱帯的な照葉樹林です。
山地にかかると標高1000mを越えるあたりまで、関東地方付近まで広く見られるシイやカシが多い温帯南部の照葉樹林が山肌を埋めています。
屋久島の中腹以下の森林は照葉樹林です。シイやカシ、ツバキのような艶のある厚い葉を持つ樹木がつくる照葉樹林は、ヒマラヤ山麓から日本の中央部まで東アジアの亜熱帯と温帯南部に広がる森林です。
しかし、標高500mを越えると屋久杉があらわれ、700mあたりからは屋久杉林といえるほど針葉樹が多くなります。標高が高くなるにつれて、しだいに常緑の照葉樹林から紅葉する落葉樹も見られる森林へと移り変わります。
このように、さまざまな広葉樹と屋久杉などの針葉樹がともに見られる森は温帯の森林を代表する姿です。
屋久杉の多い森は山頂近くまで続きますが、寒冷な気候の山頂部では寒帯や亜寒帯と共通の植物も花を咲かせています。
しかし、北海道なみという山頂でもトドマツのような温帯北部の寒冷地を特徴づける針葉樹がなく、もっとも高い所に見られる高木は屋久杉です。